吉村「止まる気なかった」

最近5年間でわずか2盗塁。決して俊足ではないソフトバンクの吉村が「足攻」で追加点を奪った。

 「ホームまで還るつもりはなかったけど、(ボールの)跳ね方を見た時点で三塁を回ろうと思った。止まる気はなかった」

 1―0の4回1死二塁で、打者・細川の場面だ。藤浪が投じた7球目がワンバウンド。捕手の鶴岡が一塁ベンチ方向に大きくはじくと、二塁走者の吉村は全速力でスタートを切った。笘篠三塁ベースコーチは、暴投の行方に気付いていなかった打者の細川に大声を掛けていた。気付くと、既に吉村は三塁ベース目前だった。「腕を回すより先に口で“行け、行け”と言った。いい勢いで来てくれた。きょうは吉村を褒めてください」と笘篠コーチ。吉村も全くスピードを緩めることなく、適時打で本塁を狙う走者と同じようなコースでベースを蹴って一気に本塁へ向かった。ファウルゾーンから鶴岡の必死の送球、藤浪のタッチより一瞬早く2点目の本塁へ左足から滑り込んだ。